トップ > 繊維のお話
繊維のお話

人工皮革・合成皮革

【特徴】
天然皮革に比べて軽くてソフトな風合いがあり、価格面でも安価なことがメリットです。
しかし、ポリウレタンコーティングの合成皮革は3~4年で表面がヒビ割れたり、コーティングが剥げてきたりします。
これは、経年劣化(年数が経つことで自然に劣化する)によるものですので、避けることはできません。
この点に関しては、注意書きとしてタグなどに記載されていることが多いのですが、販売する店員さんがわざわざ教えてくれるケースは少ないと思いますので、予め知識として知っておいてください。

【クリーニングについて】
●水分に弱いので、汗や雨で濡れた場合は乾いたタオルなどで水分を拭き取ってください。
また、特に濡れていない場合でも、着用後は風通しの良い日陰で干すことをおすすめします。
●ドライクリーニングした場合に劣化する恐れがあります。
この点については、事前にクリーニング店が説明してくれると思いますが、ポリウレタン樹脂や塩化ビニル樹脂は激しいクリーニングができないので、なるべく汚れないように注意した方が良いと思います。(クリーニング屋の見解としては矛盾しているかもしれませんが、正直な意見です)
●ドライクリーニング後の乾燥が徹底されていない場合、そのまま着用すると化学ヤケドをしてしまうことがあります。
これは、ドライクリーニングの溶剤が残留していることが原因です。
溶剤の残留は洋服の劣化原因にもなりますので、クリーニングから戻ってきてビニール袋を外した時に臭いがする場合は、風通しの良い場所で陰干ししてから着用してください。(できれば、そういうクリーニング店に預けるのは避けられた方が良いかもしれません)

ポリウレタン
化学繊維(合成繊維)

【特徴】
ゴムのように伸び縮みする弾性繊維です。天然ゴムよりも細くすることができ、染色性があります。
ストレッチ素材のジャケットやパンツをはじめ、スポーツウェアや水着にも使用されています。

【クリーニングについて】
●水洗いをする場合、強いもみ洗いは避けてください。(収縮性が部分的に変わってしまう場合があります)
●ネジレによる変形を避けるため、洗濯機ではネットを使用してください。
●ドライクリーニングに弱い繊維です。特に濃色の場合は、薄い色の部分へ色が移ってしまう恐れがありますので、知識のしっかりしたクリーニング店に出すようにしてください。

 

アクリル
化学繊維(合成繊維)

【特徴】
ふんわりとやわらかく、温かな肌触りでウールに似た風合いを有しています。
また、ウール同様、弾性回復率が良くシワになりにくい繊維です。
セーターやジャージに使用されるのは言うまでもありませんが、発色性・耐光性(日光の影響を受けにくい)に優れていることからカーテン・カーペットなど室内装飾材にも使用されています。

【クリーニングについて】
●ニット製品は伸びやすいので、洗濯時はタオルで水分を吸収し、風通しの良い場所で「平干し」してください。収納時もハンガー吊りを避け、たたんで保管してください。
●アイロン時はスチームアイロンを使用し、アイロンを直接当てずに浮かしながら蒸気を当てる程度にしてください。
高温処理すると糸が軟化し、冷却時に硬化してしまうことで繊維の良さが損なわれます。
●毛玉が発生しやすいという性質があるので、クリーニングに出す場合はキチンと毛玉を処理してくれるお店を選ばれる方が良いでしょう。
また、クリーニング後に風合いが極端に悪くなってしまうようなお店も避けてください。(逆に言えば、このあたりがクリーニング店の見極めにおける目安のひとつになるかもしれません)

 

ナイロン
化学繊維(合成繊維)

【特徴】
摩擦や折り曲げに対して強く、比重の軽い繊維です。
また、弾力性に富み、渇きが早い(吸湿しにくいため)のも特徴です。
このためスポーツウェアやスキーウェア、インテリア用としてカーペットなどによく使用されます。

【クリーニングについて】
●長時間紫外線にあたると黄変しますので、陰干しにしてください。
●特殊加工の洋服は、洗濯機での洗濯が不可なアイテムがありますのでご注意ください。
●アイロンは当て布をして、低温で掛けてください。
●スキーウェアやレインコートは「防水加工」をしてくれるクリーニング店がありますよ。
もちろん、当店でも承っております。
加工は別料金となりますが、撥水効果が期待できますので加工の価値はあると思います。

 

ポリエステル
化学繊維(合成繊維)

【特徴】
極めて強く、シワになりにくく、天然繊維との相性も良い非常に扱いやすい繊維です。
当初は吸湿性が悪いという面もありましたが、近年ではこの点もかなり解消されてきています。
とにかく、現在ある繊維の中でも1、2を争う弱点の少ない繊維です。

【クリーニングについて】
●ノーアイロンが売りのシャツもありますが、やはりアイロン掛けをした方が当然ながら良い(シワがない)状態になります。
●熱による影響を受けやすいため、ご家庭でのアイロン時はあて布(テカリ防止)を使用し、140~160℃の中温以下でアイロン掛けをしてください。
●ポリエステルの洋服がすべてクリーニング不要という訳ではありません。
シミやヨゴレを落とす、仕上げにこだわる、良いコンディションをキープするなど目的に応じたクリーニングの利用をおすすめします。

 

アセテート・トリアセテート
化学繊維(半合成繊維)

【特徴】
アセテートとトリアセテートは、ほぼ同じ特性を有しています。
トリアセテートの方が熱や溶剤に強く、プリーツ性にも優れているのですが、圧倒的にアセテートの方が生産量は多いそうです。
と言っても、アセテートでさえ衣料用の使用量は決して多いとは言えないので、これらの繊維を使用した洋服を見かける機会は少ないかもしれません。(アメリカでは衣料品としても大量に使用されています)
特徴としては、上品な光沢と感触があり美しいドレープとシルエットが表現できる繊維で、トリアセテートは一部の高級婦人服などに使用されています。

【クリーニングについて】
●大気中の汚染ガス(排気ガスなど)により変色したり退色する恐れがあります。
また、シンナーが含まれる溶剤(具体的に言うと除光液など)により、溶けたり、穴が開いてしまう可能性があるのでご注意ください。
●高級婦人服などの場合はクリーニング店に依頼した方が安全かもしれませんね。

 

キュプラ
化学繊維(再生繊維)

【特徴】
吸湿性に富み、静電気が起きにくく、優雅な光沢を持ち、滑りも良い。
このことから、主に高級裏地として使用されています。先に紹介したレーヨンは製造の過程で有毒性のある二酸化炭素を用いるため、溶剤の散逸防止への強い規制を受けています。
こうした事情からレーヨンの国内生産が困難になりつつあり、かわってキュプラが高級品としての地位を固めてきています。

【クリーニングについて】
●ゴシゴシ擦ったり、固く絞ることは避けてください。
●濡れているときは特に摩擦によって繊維が毛羽立ちやすいので、シミが付着した場合は擦らずに乾いたタオルなどで叩いてください。

 

レーヨン
化学繊維(再生繊維)

【特徴】
吸湿性が大きく染色で容易に美しく染まるので、広く衣料、寝具、インテリアに使用されています。他の繊維となじみやすいので、混紡、交織しやすいのも特徴です。
しかし、シワになりやすく、濡れると強度が低下したり縮みやすいという欠点があります。

【クリーニングについて】
●ご家庭の水洗濯ではウールと並んで扱いにくい繊維です。
洗濯時にゴシゴシこすったり、固く絞るのは避けてください。(水分を含んだ状態で摩擦を加えると繊維が分解し、白っぽくなってしまいます)
●飲食物をこぼしたり、雨に濡れた場合は、こすらずに乾いたタオルなどでたたいた後に乾燥させてください。
ただし、部分的な水溶性のヨゴレはアトになって残ってしまう場合がありますので「水濡れ」に対してはくれぐれもご注意ください。

 

絹(シルク)
天然繊維(動物繊維)

【特徴】
美しい光沢としなやかで上品な風合いを持つ繊維です。染付けが良いことから深みのある色合いが出るのも特徴で、高級なネクタイ・スカーフ・ブラウスなどに使用されています。
短所としては摩擦に弱く、水に濡れるとわずかに擦れるだけで繊維が容易に剥離(これを専門的にはフィブリル化と言います)するので表面が毛羽立ってしまいます。
また、紫外線に弱く、長時間日光に当たると黄変します。

【クリーニングについて】
●水洗い洗濯は避けてください。やむを得ず水洗いする場合は、中性洗剤で押し洗いした後にタオルなどで水分を吸収し、形を整えて陰干ししてください。
●クリーニング後は、湿気が少なく光が当たらない場所で保管してください。

 

ウール
天然繊維(動物繊維)

【特徴】
ウールは「生きている繊維」と呼ばれています。
その理由は、吸湿や乾燥により繊維が収縮するという特性を持っているからです。
ですから、ウール製品はハンガーに吊るしておいたり、お風呂場など湿度の高い場所に置いておくだけで、ある程度のシワは自然に伸びます。
ただし、水を含んだ状態で揉みこんだ場合(いわゆる水洗いによる洗濯)は、繊維が絡み合って激しく収縮するのでご注意を。また、難点となるのが「虫食い」です。
そのため、衣替えなどで長期的に保管される際には注意が必要となります。

【クリーニングについて】
●水の影響を受けやすいので水洗い洗濯は避けてください。
●「アタリ」が出やすいので、ご家庭でアイロンされる際は当て布をしてください。

 


天然繊維(植物繊維)

【特徴】
吸湿・吸水が早く、肌に触れると清涼感があるため夏物衣料に多く用いられます。が、その反面、扱いが難しい繊維でもあります。麻は繊維の中では最もシワになりやすく、「生成り」は洗濯で白くなることがあります。
また、少し大げさかもしれませんが、独特の手触り(肌触り)のため、皮膚障害を起こす場合がありますので、肌の弱い方は避けられた方が無難かもしれません。

【クリーニングについて】
●基本的には水洗い洗濯が可能です。
●汗を放置すると黄変するため、クリーニングされる際は早めに出してください。
●濃色は白けやすいので、クリーニング店に任せるのが良いかもしれません。
●シワになりやすいことから、アイロン技術を要するアイテムはクリーニング屋さんに出した方が綺麗に仕上がります。

 

綿
天然繊維(植物繊維)

【特徴】
肌触りが滑らかで、適度な保温性と吸湿性があります。
繊維自体に強度がある(水に濡れるとさらに強度が増す)ため家庭での洗濯が比較的容易で、高温のアイロンにも耐える扱いやすい素材と言えます。

【クリーニングについて】
●洗濯により縮む(収縮しやすい)ため、ドライクリーニングの方がベターな場合があります。
●シワになりやすいので、ジャケットなどは洗濯後のアイロンがかなり難しい(シワが伸びにくい)です。クリーニング店の技術によって仕上げに差が出るアイテムです。
●濃い色は色落ちしやすい場合がある(特に水洗い不可の表示があるモノ)ので、クリーニングに出されることをおすすめします。

ページトップへ戻る